こんにちは、日本食事療法士協会の太田です。
2/2(土)に台東区蔵前「結わえる商家」で新年会を兼ねて「玄米からはじまる、健やかなからだとこころの作り方」というセミナーを開催しました。
ゲスト講師は(株)結わえる代表の荻野氏。
日本はハレとケの区別があり、ハレはお祭りやお祝いごとのある日、ケはそれ以外の日常全般のことです。
焼き肉もパスタも毎日食べられる現代では考えられないかもしれませんが、昭和の中ごろくらいまで、日本人の日常的な食卓は一汁一菜のシンプルなものでした。
それが今では逆転し、むしろ一汁一菜の食事など、外食はもちろん家庭でも見られません。結果として、生活習慣病が云々の話はこのページを呼んでいる方には蛇足かもしれませんね。「結わえる」さんはその日常の食事が現代でも味わえる、希少なお店です。
荻野氏も当然、毎日の食事には気を遣っていますが、本人が「好きな食べ物はラーメン、お酒は毎日飲む!」と豪語しているように、そこまでストイックに健康生活を実践しているワケではありません。そんな荻野氏の講義は
それでも健康を維持したい。それならどうすれば良いか?
というテーマに基づいたもの。とても親近感がわきます。
まずは日々の食生活を採点し、いま自分が「危険~仙人レベル」のどこにいるかを把握(ちなみに、辻野先生はやはり仙人でした)。少し点数が低い食生活をしてしまったら、しばらく点数の高い食生活をすれば健康は維持できる!
という内容で、とても分かりやすいお話でした。
日本食事療法士協会のコーディネーター講座でおなじみ辻野先生は、正しい玄米の食べ方を伝授。
これを読んでいる方は普段、ごはんをよく噛んで食べているでしょうか?
よく噛んで食べるというのは、子供のころはよく言われましたが、大人になるとほとんど意識されないように思えます。
実際、私はよく噛むほうだと思うのですが、それだけに誰かと食事すると圧倒的に食べるのが遅い。一人だけ遅いと先に食べ終えた人に迷惑な気がして、急いで食べるのですが、それでも遅い。取り残された時の罪悪感ったらないです。
大人になって仕事をするようになると、食事はさっさと終わらせるのが正しい。みたいな風潮があると思うんですよね。子どもにしつけるのとは矛盾していても。
だけど、咀嚼は大事。
というのが辻野先生のお話です。なぜか?
種って、桃でもヒマワリでも、硬いのが当たり前。なぜなら、種にとってはどこかの地面に落ちて芽を出すのが使命だから。動物に食べられても消化されず、うんちとなって命をつなぐのが種です。
そして玄米は稲の種。白米と違って、水をあげれば芽を出し、その気になれば玄米1粒から稲を作ることだってできちゃいます。だから硬くて当然。
つまり玄米は噛まなければ、きちんと消化されて栄養にならない。それどころか、噛むのをサボると胃腸に余計な負担を強いることにもなります。健康のために玄米を食べていても、内臓に負担をかけたうえに栄養にもならなかったら空しいですよね。
辻野先生は、実際に玄米を咀嚼するワークショップをおこないました。
これによって消化が良くなるだけでなく、味にも劇的な変化があるんです。
それでも現代人はあまり噛まないので、「口に入れたらとろけるもの」「噛まなくても味がするもの」が大好き。私にもしっかり当てはまりますが…。しかし、そういった食事が日常的になるのはリスクがあります。
と、このような話でした。
咀嚼のワークショップは食養生ジュニアコーディネーターでもおこなっているので、興味のある方はぜひ受講してみてください。
講義の後は、お楽しみの懇親会。
結わえる商家では、珍しい玄米どぶろくなども楽しめました。
自然のもので火入れもしていないので、作る時期などで味がまったく変わるんだとか。
懇親会はお酒も入って、講師を交えてワイワイ楽しく話をする場なので、ハレの食事。「たまのハレの食事ならおいしいものを」という荻野氏のポリシーが伝わってくる、とてもおいしい食事を楽しめました。